• Posted 12.08.01

暑い季節を更に暑くするがごとく、オリンピックの熱戦が続いている。
先日、なでしこジャパンの練習風景をテレビで行っていた。
グランドでの激しい練習は当然のこととして、ユニークだったのは、佐々木監督が選手同士のミーティングを非常に重視していたことだ。
これは、前に雑誌に載っていた佐々木監督のインタビュー記事でも読んだことがある。
かつて、スポーツの世界ではコーチや監督が絶対であり、選手に対して厳しく自分の考えを教えることが一般的だった。
しかし、試合前も、試合後も、佐々木監督は自分の考えを選手に「教える」ことを極力控えるようにしているように見えた。
代わりにやっているのは、話し合うためのベストな材料と場を与えることだった。

例えば、強豪との試合前に相手チームのVTRを見させて、まずチーム全体で全体戦略を考えさせて、次にポジション毎に詳細戦術を検討させ、更にそれを統合させていた。
あるいは、試合後であれば、勝っても負けても、その要因を徹底的に自分達で究明させていた。
多分、佐々木監督をはじめとしてコーチの方々にも、言いたいことは一杯あるだろう。
しかし、それを我慢して、「どうしたらいいのか自分達で考えろ」と突き放す。結局、グラウンドで瞬時に決断をしながら戦うのは選手自身だからだ。
佐々木監督は、そのミーティングを「意志合わせ」と呼んでいた。

我々がコンサルテーションを行うときも、いつも心がけているのは「正解を教える人」ではなく「本気の刺激役」であることだ。
時には、メンバーが「じらさないで答えを教えてください」と言ってくることもある。
もちろんこちらにも仮説はあり、場合によっては、メンバーの「主観」とこちらの「主観」をぶつけることもある。
しかし、それはあくまでも「主観」にすぎず、「客観的な正解です」と押し付けるようなものではないのだ。
なにより、メンバーが自分達で決断したものでなければ、変化する環境下で本気でやり抜くことは難しい。
佐々木監督の姿勢は、我々コンサルタントに限らず、組織の中でマネジメントを行う全ての上長に当てはまることに思えた。
よく「うちの部下は考えることができないから俺が教えてやる必要がある」という管理職の方にお会いすることがあるが、「上司が教えてやっている」から「考えることができない部下」が生まれているともいえるだろう。
そのテレビ番組で佐々木監督がこんなことを言っていた。
「あいつらは強くなった。だって、自分達で考え・自分達で決めて・自分達で実行できるんだから」
マネジメントの王道だと感じた。

 

平尾貴治