• Posted 13.03.05

以前、あるトップアスリートだった方から、大変に興味深い話を聴きました。

彼は、何度も優勝にチャレンジしてはギリギリで手が届かず、最後の最後にようやく栄冠を手にした方でした。優勝の時には、当時の現役選手の中では最年長に近かったと思います。

 

その方に「現役時代、何を目的やモチベーションにして、あんなにハードなトレーニングをしてたのですか?」と質問したときに、「”トレーニングメニューをこなすこと”を目的とモチベーションにしてました」と答えられたのです。

「え?優勝することを目的にしてたんじゃないですか?」と伺うと、「もちろん優勝はしたかったけど、結果を目的にすると不安になるし、駄目だったら、その度に落ち込むじゃないですか?自分で決めた毎日のトレーニングは、自分がやるかやらないかだけだから、最高の目的になるんですよ。」というお話しでした。

それを伺って、彼がなんであんなにチャレンジを続けられたのかが理解できました。優勝が目的だったら、もしかしたら諦めていたのかもしれません。現役時代の彼は、トレーニングを目的にトレーニングを行い、その結果として、優勝がついてきたのです。

 

よく我々はコンサルテーションの現場で「手段と目的を逆転させないでください」とお話しします。「絶えず何のために今があるのかを考えましょう」とも投げかけます。

しかし、多くの個人や組織が、その手段を持続できないことで悩んでもいます。

アスリートのお話を伺って、もしかしたら「成果を目的」として、「手段は一段低いもの」と置くことが、持続性を失わせる原因になることもあるのかもしれないと感じました。

 

もちろん、手段を目的にするとどうしても視野が短期的になったり、環境の変化に対応できないという危険性はあります。だからこそ、手段はいつもブラッシュアップをしなければいけませんし、そのために成果との紐付けは必要でしょう。そこは意識しつつも、時には、「この手段をこなすことが自分の目的」と強く思い込み、実行し続ける単純さも必要かもしれません。

 

平尾貴治