コンサルタントブログ

【参加報告】ODNJ 2025年次大会に参加して ― AIと人の共創から考える、これからの組織のあり方 ―

2025.10.15ブログ

森田萌果
【参加報告】ODNJ 2025年次大会に参加して ― AIと人の共創から考える、これからの組織のあり方 ―

― AIと人の共創から、これからの組織のあり方を考える ―
2025年10月3日、秋葉原UDXカンファレンスで開催されたODNJ(Organization Development Network Japan)年次大会に参加しました。
今年のテーマは、「両極から考える組織開発」〜新たなテクノロジーと人間の役割〜。
このテーマを見たときから、AI時代における「人の価値」や「組織のあり方」について、自分自身がずっと感じていた問いに向き合える時間になると感じていました。

________________________________________
「AIと共創するリーダーシップ」という問いに触れて

基調講演では、株式会社ベネッセコーポレーションの副カンパニー長・込山智之さんと、組織開発・HR領域リーダー・井戸敦子さんが登壇され、「変革の時代を生き抜く組織力 ~AIと共創する新たなリーダーシップと組織開発~」をテーマにお話しされました。
込山さんのお話で特に印象に残ったのは、
「一人ひとりと生命をかけて向き合うこと。ストーリーを作り、複合的に取り組んでいく。」
という言葉でした。
テクノロジーがいくら進化しても、組織を動かすのは“人の意志”であり、“関係性”を育てることこそがリーダーの役割である――そのことを改めて認識しました。
一方、井戸さんからは大規模組織開発の具体的な事例が紹介されました。
認知を変えながら、変化をいかに機会点へと転換していくか。そのプロセスとストーリーが非常に印象的でした。
「あるものを活かして、ないものを創る。」
この言葉が示すように、どんな場面でも多様な視点から問いを立て、何ができるのか、何から始めるのかを考え続ける姿勢の大切さを学びました。
現場支援に携わる立場として、胸が熱くなる時間でした。
________________________________________
ワークショップで体感した「リーダーの進化」

午後は2つのワークショップに参加しました。
最初のセッションでは、東京学芸大学の遠藤太一郎さんが登壇されました。
遠藤さんは、AIの技術開発だけでなく、その社会的・教育的な活用を探求されている研究者です。
このセッションでは、「AIと人間の知性の関係」についてお話がありました。
生成AIの発展がもたらす社会変化を通して、人間の価値とは何か――。
社会の構造から問い直すような深い対話の時間となりました。

続くワークショップでは、黒川公晴さんによる「ミネルバ式リーダーシップ」を体感。
システム思考をもとに、組織の複雑性を“ちゃんと見る”というワークは、自分の内省を大きく揺さぶりました。
「自分のことをわかっていないと、他者に共感できない。」
この言葉が強く心に残りました。
リーダーシップを発揮するためには、まず自己理解を深めることが不可欠。
自分がシステムのどの部分に加担しているのかを見つめる中で、関わり方や思考のクセがより鮮明に見えてきたように感じました。
________________________________________
学び合うコミュニティの力

ランチタイムのポスター発表では、会員の皆さんによる実践や探究が紹介されました。
立場や業界を超えて、現場のリアルな課題や成果を語り合う光景がとても印象的でした。
一人ひとりが自分の組織の「小さな変化」に真摯に向き合い、その学びを惜しみなく共有している――
その温かさと誠実さが、ODNJというコミュニティの魅力だと改めて感じました。
________________________________________
振り返って思うこと

今回の大会を通して改めて感じたのは、
「AIの進化が進むほど、“人の可能性と意志”が問われている」ということです。
AIが仕事の一部を代替する一方で、
私たち人間にしかできないこと。他者への共感、意味の創造、関係性の再構築が、ますます重要になっていると実感しました。
そして、組織開発とはその“人の力”を引き出し、組織という生命体を成長させていく営み。
テクノロジーと人間が競合するのではなく、「共創」していく関係をどうデザインするかこそが、これからのテーマだと感じます。
________________________________________
おわりに

「両極から考える組織開発」という大会テーマの通り、AIと人間、経営と現場、安定と変化――そのどちらかに偏るのではなく、両極の間を行き来しながら新しい可能性を見出す。
そのダイナミックな“間”にこそ、組織開発の真価があるのだと思いました。
この貴重な学びを、日々のクライアント支援や自社の組織づくりに還元していきたいと思います。
大会を企画・運営されたODNJの皆さま、そして貴重な実践を共有してくださった登壇者・発表者の皆さま、さらに共に学びを深めた参加者の皆さまに、心より感謝申し上げます。

実施プログラムについてご質問やご相談等ございましたら
下記にてご連絡くださいませ。