• Posted 13.08.18

先日参加した勉強会で、体から生じる微細な感覚や動きから、人の感情・信念・行動を考える機会がありました。
極めて簡単に説明すると、言葉としては相手に「嫌い」と言っていても、そのときに目を伏せてるのか、微笑んでるのか、体はどちらを向いているか等によって、本当の真意は全く違うことになることってありますよね。
そうした瞬間に体が発している微細なシグナル(声)を感じ取ることを考える勉強会でした。

勉強会は、プロセス指向心理学とも呼ばれる学際的アプローチで、マサチューセッツ工科大学で物理学を学んだ後、スイスのユング研究所の分析家として活動していたアーノルド・ミンデル氏が1970年代に創始したプロセスワークがベースとなっています。

 
皆さんの周りにも、「俺はルールを破る奴は許せない」と言いながらルールを破る人や、「上に対して自由に意見の言える組織が大切だ」と言いながらパワハラまがいをする人はいませんか?
ともすると私たちは、そういう人に対して「彼は口だけだ」と怒ったり、「あるがままに生きていないので辛そうだ」と、言行が一致するように求めます。
しかし、周りから見て言行が不一致になっているのは、その人にとっては自分のアイデンティティを守るために必要な信念が「エッジ」となって境界線を守っているからであり、さらにややこしいのは、本当の自分(二次プロセス)が、言葉など表面に現れている自分(一次プロセス)と違うことを行動しているなんて本人も思っていないことです。
組織で言えば、外から見れば「大企業病のゆで蛙」だったとしても、中の社員は、役員から若手リーダーに至るまで本気で変革している気持ちでいたりするという類です。

 
今回、私自身が非常に勉強になったのは、「その人(組織)に良かれと思ってエッジを越えさせる」という行為は、本当にデリケートであり、時として精神と健康さえ害してしまうものだということがわかったことです。
「人や組織はあるがままに生きる」ことこそ良いことと考え、そのための言行一致こそが大切と思いがちですが、エッジを越えるということは強烈な反作用も生み出します。
もちろん、かくいう私自身もいくつかのエッジを持っており、それを超えようと七転八倒をしていたことが、この勉強会の中で見えました。

 
ただし一方で、現実のコンサルテーションにおいては、外部環境や戦略論から考えて、生き残りのためには今この瞬間にエッジを超えなければならないという切羽詰まった場面に遭遇することもあります。
そんな時であっても大切なのは、存在しているエッジを正確に捉え、浮かび上がらせ、そのエッジが守ってくれていたものを丁寧に受け入れつつも、内圧によって変革していくことを支援せねばなりません。
多分、それこそが他ならぬODコンサルタントの使命なのではないか、そんなふうに考えております。

 

 

 

平尾貴治