少々重たい話を書きます。
自分の前職のそごうを百貨店として売上日本一にし、そして破綻させたトップであった水島廣雄さんのことを書いた本である『評伝 水島廣雄 ~あとから来る旅人のために~(諏訪書房)』を読みました。
これまで全く聞いたことのない話が沢山あり、一人の男の人生の物語として、また戦略の成功例と失敗例の教科書としてもとても興味深い内容でした。
読み進めながら、20店舗・30店舗を目指して拡大していた時の一社員としてのワクワク感や、給与カットや希望退職者を募りだした時の不安と怒りで胃が縮むような感情をありありと思い出しました。
自分の人生の中の17年間を費やした「そごう」と「水島さん」を一言で語ることは難しいです。
ただ、本を読んで再認識できたことがあります。
それは「企業の成功は戦略で実現するが、失敗は組織によってなされる」という事実です。
水島さんは「すごい戦略」を考え実現したが、残念ながら「すごい組織」は作れなかった。
もちろん当時の社員が無能だったということではありません(少なくとも私以外は_笑)。しかし「健康に機能する組織」ではなかった。
誰もカリスマに対して本気で進言できる人はいなかった。
我々社員も居酒屋で愚痴は言っても、どこかで「会社は潰れないだろう」と思っていた。
そして皆が一所懸命に働きながら、結局会社は破綻してしまいました。
改めて、自分が組織開発を一生のお仕事として現在やらせていただいているのは、こういうことだったのだと思いました。
会社をダメにするのは、マーケットでも戦略でもない。組織なのです。
だから、どんなに「青臭いことを言うな」と言われても、私は『組織の健全性と効果性』を作るお手伝いをし続けたいと思います。
平尾貴治
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