その季節、その場所でしか味わえない「おもてなし」

あるサービス業界の役員との話題で、サービス業のグローバル化が話題になった。

 

「ホスピタリティと日本のおもてなしは違うか」
「はたしてその季節、その場所でしか味わえない日本のおもてなしは輸出で出来るか」

 

その時には日本のおもてなしは日本の四季と密接関連していて「もののあわれ」と一体になっているので難しいのではないか、そんな話になったと思う。

 

そんなことを彷彿とさせる出来事に遭った。

 

先日、山の中の小さな一軒旅館に泊った。
山の奥深く朝夕は氷点下まで気温が下がっていた。

 

夕方食事処に行って部屋に戻ってくるといつものように布団が敷かれていた。
テレビもないので食後早々に布団に入ろうとすると、
「んっ!」足先が暖かい。
ふとんを開けてみるとアンカが入っていた。
電気アンカではない。
豆炭のアンカ。
何年ぶりだろう。懐かしい気分になっていく。
まだ里は紅葉の季節だが、ここはもう一足早く冬だったことを感じる。

 

毎日出張の連続で季節の移ろいも感じ取れない毎日だった。
でも自分の中の人間性を思い起こしたような気分になった。

 

この季節、そしてこの場所でしか味わえない。
また違う季節に訪れてみたいと思う。

 

そう、こんな組織開発を目指したい。

 

大島岳

ダイバーシティーマネジメント

国籍も年齢も違う2者が共同事業を進めていた。2人の事業に対する情熱は共感するもので私も応援してきた。事業に対する情熱は共通していたが、片方の外人の共同経営者は、エネルギッシュで情熱的で事業を進める上でのエンジンだった。片方の日本人は穏やかな性格で顧客の細かい要望にレベルの高いサービスで応えていた。この2人の違いが事業を良い方向にひっぱってきた。

 

しかし些細な切っ掛けから衝突が生じて、とうとう共同事業までやめると言い出した。2人の言い分をそれぞれ聞いていると、日々を回すために互いに我慢していたようだ。しかし互いに自分だけが我慢していたと思い込んでいた。

 

私は、「事業を始めた以上、途中で放り投げるのは経営者のやることではない。顧客を放り投げるのなら応援は出来ない!」と自分の立場をはっきりさせて、2人の話を整理していった。整理していくと大きく2つのポイントに分けられた。一つは衝突後に取った外人のエキセントリックな言動と二つ目はそれに至るまでの原因だ。
間に入っている私には整理できたが、2人の共同経営者はこの二つが感情と一体になってループする。このループを断ち切るにはどうしたら良いのか。

 

「私のBeingは何か」か問われる。

 

全ては私が彼ら一人ひとりから信頼されなくては始まらない。それぞれの気持ちをどこまで聴き切ることが出来るか。そんなプロセスを取りながら、2人は相手の話を聴ける状態になっていった。

 

プロセスを踏みながら分かってきたのは事業をスタートしたころ彼らは良く話し合っていた。しかしいざスタートしてみると日々の業務の多忙さの中で目の前の課題の話をしても、今どのような気持ちでいるのか、自分が困っていることなど話せていなかった。また時によってはプライベートの事などは相手の負担になると思って飲み込んでいた。また事業の進め方についても役割を決めてしまったものの具体的なプログラムまで落とし込んでいなかったので連携関係も曖昧だった。それぞれが孤独で闘っているようだ。

 

2人に質問を投掛けながら、具体的なことを話していったら感情的になっていたのがだんだん落ち着きやがて「そう思っていたのか」という言葉が互いに出るようになった。そんな相手を思う気持ちが出てくると元々ビジョンに対する情熱を共有している二人が氷解するのは早かった。

 

この衝突と葛藤を通じてこの共同経営者達はダイバーシティーマネジメントの本質を学んでくれたものと思う。そして彼らのビジョンが具現化し顧客に必要とされる事業になっていって欲しい。

 

大島

「16th IAF ASIA Conference Tokyo 2013」に参加して

IAF(International Association of Facilitators)とFAJ(日本ファシリテーション協会)共催の「16th IAF ASIA Conference Tokyo 2013」に参加してきました。

参加者は200名を越え、そのうちの3分の1が海外からの参加者でした。
海外参加者はアジアが中心でしたがワークショップではフランスからの参加者もいました。

あるアメリカ人の参加者は現在米国と香港で50:50で活動しているようですが、中国に拠点を作るように動いているそうです。
日本人で海外で活動しているかも多くいますが、改めてグローバル化と言うことではレベルを上げていく必要を感じます。

GALA Dinnerは「日本のおもてなし」をテーマに「手作り感」満載の楽しいまさに「祭り」の場でした。
終盤日本人も外国人も「東京音頭」を踊り、大きな渦の流れになって「場」を楽しんでいました。
この「手作り感」と「おもてなし」に企画運営して下さった方々に感謝です。

大島 岳

三世代家族旅行のマネジメント

夏休みに三世代8名の家族で旅行をするとマネジメントが必要になる。

みんながそれぞれ楽しむようにスケジュールを組み立てても、
最少年齢は4歳だから大人の思ったようには全てが進まない。

どこかに食事に行くにしても大騒ぎだ。
イメージしていた予定時間は1時間程度はすぐ狂ってしまう。

目的は「三世代旅行でないと出来ない体験をする」
そして最低限の大きなルールを作って、
後はそれぞれのペースで動けるようにしたら個々が自律的に動き始めた。

今まで知っているようで、知り得なかった強みを知って、
自然と役割が出来たり面白い。

こんな小さなコミュニティでも「私」ではなく「私達」と考える人が、
リーダーシップを取って行くのにも感心してしまう。

 

大島岳

アフリカの次にくるものは

ゴールデンウィークも刺激的だったが
その後も怒濤の日々を過ごしてきたら
いつのまにか梅雨入りしていた。

そして今日は関西への出張。

新幹線で移動しながら梅雨の合間の青空に気持ちが動く。…もののあはれ
最近の巷(マスコミ?)のテーマは「アフリカ」。

ビジネス誌の表紙は「最後のフロンティア! アフリカ」

ではそれが最後なら次はどんな時代が来るのか。

経済的未開拓地が無くなったら
次はどんなパラダイムの時代が来るのか?

 

大島 岳

自分以外の人に同じモノがどんな見え方がするのか?

先月タイを視察旅行に行き帰ってきて、ミーティングでそれぞれの感想を共有した。そのときに30代半ばのスタッフが「日本の高度成長期ってこんな感じだったんだって思いました。」

そんな感想を述べたのが新鮮だった。彼らの世代はバブルがはじけ、そのまま日本が「空白の時代」と言われた時代だけを過ごした世代だ。

私は、彼らより人生を長く過ごしてきた分、中長期的な経済波動を体験している。良いときもあるけど悪いときもある。それと同じように悪いときもあれば良いときもある。そんな感覚が当たり前だっただけに新鮮だった。

4月に入り街中の至る所で新入社員の姿が目立つ。真っ黒のスーツを着ていても、仲間同士で話している姿は学生と変わらない。彼らは入社した会社や先輩社員にどんな見方をしているのだろうか。デフレの中で閉塞感の中で育った彼らはどのように感じるのか。

弊社でも来週から新しいスタッフが入社していくる。我社の歴も知らず、仕事の内容も知らない彼らがどんなどんな見え方がするのか聴いてみたい。

来週にはポーランドへ初めて行くことになっている。歴史に翻弄されてきた国というイメージが私には強いが、また新鮮な刺激を受けてきたい。

大島岳

とにかく行ってみなけりゃ分かりませんよ

先週、タイに行ってきた。
今回はクライアントの企業のタイの工場視察しグローバルODのヒントを見いだしに行った。

10年ほど前、タイに行ったときとは様子が一変している。300%の関税がかかっているのに真新しい高級車がバンバン走っている。少なくとも一千万円しているはずだ。間違いなくホノルルで走っている車より綺麗で高級車だ。

大きなショッピングモールへ行ったが、青空駐車場なのにカーポートが皆付いているのだ。車を大事にしているのだ。A社長が「こちらは今年よりも来年は必ず収入が上がると信じている。みな無理をしても車を買うんですよ」

今回に案内役を買っていただけたのは京都の中小企業のA社長だ。そのA社長の会社では日本の工場にタイ人をも採用しているが、タイにも工場進出している。
A社長から見ると如何にタイ人がハングリーか、それに比べて日本人が如何に保守的か、そのことに問題意識を強烈に持っていた。

彼の業界では、既にローカル企業でも品質的にも値段的にも日系企業に対して競争力を持った企業が既に台頭している。そのなかで如何に競争力を維持していくか、此に対して徹底的な多品種少量生産しかも長短期納期の生産管理マネジメントがポイントになっていた。これは新しい機械を導入しても、新たな技術を導入しても簡単になしえるものではない。組織全体のバリューチェーンの問題であり、民族としての文化の違いでもある。

視察した中にタイ北部の貧困地帯から集まった若者が学んでいる日本語学校に行った。彼らはそこで半年必死で勉強をして2年間の条件で日本にいき日本の企業で2年間真面目に働く。2年間の収入で学費を返済しその上家2軒分貯金をもってタイへ戻ってくるのだ。そして彼らはタイの日系企業からは引く手もあまたの人材となって帰ってくる。

残念だがblogでは書けないことが多すぎる。
だからこそ溜まってしまって「吠えたくなる!」

 

大島岳

NTLのODラボラトリーを受けて

先週南山大学人間関係研究センター主催の「組織開発ロボラトリー」(5泊6日+1日)を受講してきました。NTLのJulie A.C.Nollanさんがファシリテーターでした。NTL(National Training Laboratory)は組織開発の原点であるレビンが創設したところであり、組織開発する人に取って原点と言えるものです。

Nollanさんは名誉会員であると伴に前理事長でも有り、代表兼CEO任命委員会の議長も務めた方です。

Nollanさんは元々MBAを取得後ODコンサルタントになった人で、良い提案をしても提案に対してOwnershipをもちコミットしなくては実効性がないことを痛感したことがキッカケだったの話は共感しました。

NTL Handbook of Organization Development and Changeの組織アセスメントを担当されているように「診断」のプロです。何故「診断」にこだわっているのですか? との質問に「診断」こそパワフルなInterventionであると言うことでした。これはその後の実習で体験することが出来ました。前半では既存のModelを体験した後、後半では自分のModelを創作し、それをClientにどのように使っていくか体験しました。

それで分かったことは、参加したメンバーが如何にClientのことを心底思っているか、また大切にしている価値観が表われるかを、体験しました。

私自身の自己理解につながりましたし、自分の会社のスタッフへ伝えるとき「言語化」して頂いたという思いになりました。

大島 岳

「無知の知」からのスタート

2013年がスタートして、あっという間の1ヶ月。

 

それにしても振り返ってみると、なんと毎週毎週密度の濃い時間だったのだろう。

 

出会った方々との時間を、こんな速度感で感じていていいのだろうか、じつは見逃しているシグナルがあったのではないかと、ヒヤヒヤしてしまう。

 

年賀状でしばらく御無沙汰してたのに「研修やるぞ」と伝えて下さったり、「提案待ってるぞ」と叱咤されたり、「一緒にコラボしようぜ」と誘ってくれたり、感謝と伴に、「申し訳ありません!」と思ってしまう。

 

私が今、はまっているのが「ワールドワーク」。ミンデルの「紛争の心理学」といった方がご存知の方も多いのではないだろうか。

この体験で、「自分は分かっていない」。

今年の全ては、ここからスタートする。

 

大島岳

熱海市の驚き

昨夜、熱海に前泊して食事を寿司屋で一人でした。

寿司屋のご主人と話していて「熱海市の人口は4万人を切ったんですよ」と聞いてびっくりした。
東海道新幹線が止まる駅で、人口が4万人以下とはびっくり。

後で調べ見るとたしかに僅かですが4万人を切って3万人台だ。

「しかも住民の60%が年収300万円以下ですから」
「でもご主人の所は出前力入れているみたいですし、旅館がリゾートマンションになっているから需要多いんじゃないですか?」
「いやあ、昔はね」

それ以上は聞きづらかった。

「今、大きなショッピングセンターってどこなんですか?」

「ヤオハンとイオンかな」
「どっちが大きいですか」
「イオンだよ。」
「ヤオハンって熱海が発祥の地ですよね」

熱海も首都圏の団体客を迎え入れる温泉業を開発した。

そして熱海はヤオハンの発祥の地でもある。しかしその後新しい産業が出ていない。
取って代わったのは、リゾートマンションばかり。

「星野リゾートがてこ入れした施設は流行っているようですがね。」
「他の旅館は9800円にダンピングしてますよ」

ペンキもはげた旅館に9800円払って行く気はしない。

熱海も街全体が町の価値を見直して編集しなおし活気を出して欲しい。

 

大島岳