リーマン・ショックと私の車
2014.12.01ブログ
弊社主催のセミナーで過去のGDPの推移のグラフを使用した時に思い出したことがあります。
世界的金融不安の発端となったリーマン・ショックと私のつながりが明らかになった恐怖の思い出です。
当時の私は、岐阜県の老舗旅館に勤めておりました。
経理課に所属しており、社長と事業計画書をあーでもないこーでもないとやっていた時期です。
当時の私は、世界的金融不安やリーマン・ショックという連日のニュースや報道を見聞きしても、
正直、基本は他人ごとでした。
「世の中たいへんだなー」。まあこんなものです。
しかし、それから間もなくのことです。
リーマン・ショックによる実体経済への影響が会社にもやってきました。
予約にキャンセルはないものの、これから紅葉のシーズンを見込み、多くのご予約を頂くはずが、
例年より明らかに減少傾向にありました。
トップシーズンに見込まれる客数の減少は、文字通り、死活問題です。
減少要因を辿って行くと、最もコアな客層である愛知県のお客様が減少していることがわかりました。
愛知県といえば自動車。自動車業界は、リーマンショック後の打撃をモロに受けた業界の1つです。
とにかく、ある程度、形を成してきた事業計画書も大幅に見直さなければならなくなりました。
主力の愛知県がだめなら、地元に助けてもらうしかありません。
「お昼と夕食を食べて、その間に温泉を堪能しお土産を買って日帰りするプラン「0泊2食」で当面は稼ぎます」。
銀行の担当者へ、トップシーズンの崩壊のせいで鉄板の過去データが通用しませんから、
急遽、方針転換をし説明を致しました。実際、何とかなりましたので、まずはホッとしたものです。
しかし、ほっとしたのもつかの間でした。
ある日の昼休み。コンビニへ行こうと自分の車へ乗ろうとしたら、ダッシュボードが開きっぱなしでした。ん?と思い、
見渡しましたら、まずはカーナビが傷だらけなのに気づき、私は驚きました。
続いて、後部座席。ガラスの破片が散らばっています。やられた・・・
購入してひと月も経っていない私の車が車上荒らし・・・
リーマン・ショック後の当時、車上荒らしの窃盗団が上昇傾向にあり、私の新車もその被害にあってしまったのでした。
私は警察官に指紋を採取され、頂いたティッシュで指を拭いながら警察官の方へ聞きました。
内田「一体、どんな人がこんなことをするんですかね。
こんな田舎でやったら、すぐにどこの誰かってわかりそうなものだけど。」
警察官「んなもん、決まっているよ。地元の者の犯行じゃない。ましてやこのやり方は日本人じゃない。外国人や。」
内田「・・・・・・」
岐阜県の隣には愛知県があり、ご存知の通り、この県の中心的な産業は自動車です。
リーマンショック前は、東海地方の自動車メーカーは好調でしたので、人手不足が起きていました。
そこで、外国人雇用を考え、多くの海外の方が来日し、派遣社員として働かれていました。
当初は、治安悪化を懸念して、信頼できる国からの受け入れに限定をしていたのですが、
人手不足が解消されないため、だんだんなし崩し的になり、
最後の方は、様々な国の人達が入国をしていました。
そこへリーマン・ショックです。そして派遣切り。
国へ帰れる外国人はいいですが、路頭に迷う方も少なくありませんでした。
話しを聞いていくと犯行の流れは、カーナビを奪って売り払い、帰国というわけでした。
私の車は純正でハメ込まれたカーナビだったので、取ることは叶わず、
だから、何かないかとダッシュボードも必死に漁ったのだろうと思われます。
「世の中たいへんだなー」と他人事のように思っていたリーマンショックの影響が、
このような形で自分自身に降り掛かってくるとは思いもよりませんでした。
ここから得られた私の教訓は、
世の中で起きていることは、自分の生活にも結びついている。
すなわち、俯瞰したものの見方を大切にしようということです。
社会という大きな枠組はイメージすることが難しいですが、皆さんの日々の生活は必ずどこかにつながっています。
今起きている事象は、どこからきているものなのか、私のようにドタバタしたり、痛いオモイをする前に
一度俯瞰した大きなモノの見方で見てみて下さい。
ここからこんな影響を受けているのか!と思わぬ気づきがきっと出てくるものと思いますし、
気づくことで未然に防げることもあると思います。
内田拓郎
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