胸を熱くさせる人

先日、お客様との面談中に大変印象深い出来事がありました。
そのお客様は長く勤められた会社を退職され、新天地で組織作りに奮闘されている方でした。
どのような価値観を持った方なのか、過去のキャリアを伺いながら面談を進めるなかで、
少し前に、前職時代の経営者がお亡くなりになったことがわかりました。

その経営者がどんなに素晴らしい方だったか、お話を聴いていた時・・・
「すみません」
と突然メガネを外し、お客様がポロポロと溢れる涙をハンカチでぬぐい出したのです。
私は驚きとともに、自分の胸も熱くなっていくのがわかりました。
人を集め、成果を出すために組織を運営していく苦しさを感じていらっしゃるからこそ、
偉大な経営者が組織に関わる「人」を大切にし、愚直に当たり前のことを積み重ねてきた姿と
ご自分を重ね合わせ、様々なオモイが巡ってきたのでしょう。

人を切るのは簡単ですが、その前に、リーダーとして人と組織を成長させるため、

本当に全てのことをやりきれているのか?
奇しくも私自身が過去に関わった組織に対し、自問自答を繰り返していたタイミングだっただけに、
お客様が見せてくださったリーダーとして葛藤する姿に、「私も一歩前に踏み出さなくては」と
胸が熱くなりました。
お客様を応援する立場でありながら、いつも力をいただいていることに感謝したいと思います。

 

Sotoyama

支配からの脱却

最近、ニュースで学校やスポーツ界での体罰や高圧的な指導が問題になっています。

私はこの話題が出るたびに、どこか違和感を感じておりました。なんとなく正論で「体罰はよくないのでやめるべきだ!」とか、「いや、弱い気持ちを鍛えるには厳しさが必要だ!」とか「べき論」だけで語られているような気がするからです。

コンサルテーションの現場でも、管理職の皆さんから「上司の強いマネジメントによって、部下の思考がストップしてしまう」「逆に部下のメンタルやパワハラの訴えを気にして厳しく叱れない」という相談を受けることが多くあります。

私は、教育においても企業においても、「強いマネジメント」の問題について、組織論の見地から見るといくつかの共通する本質があるように感じました。

一つは「個人の本質」、もうひとつは「組織の本質」です。

 

まず、個人については「人間は、自分の判断を“客観的に考えて正しいことをしている”と思い込んでしまう」という本質があります。

プロセス指向心理学、プロセスワークの主な創始者の一人であるアーノルド・ミンデル(Arnold Mindell、1940年 – )は、「犯罪だろうが差別だろうが、どんな行動であれ、その行動をとる瞬間は、その人間は最善と考えて行動している」と述べています。

逆に言えば、どんな「正義」であろうと、全てその人の思い込みであり、主観なのです。

もちろんだからといって、「企業のランクの高い人や学校の指導者などが、自分の正義感を捨てねばならない」ということではありません。大切なのは「どのような“正義”であろうと、全ては自分の思い込み(主観)にすぎない」という自覚ではないでしょうか?

 

次に組織の本質です。

組織風土とは「規範」「価値観」「暗黙の評価基準」「暗黙の相互援助システム」の四要素から構成されており、組織の中の様々なシステムが、組織風土の影響下で機能している、という本質です。

つまり、強いマネジメントが常態化するということは、それを支える四要素があるということです。そこを切り込まずして「パワハラをした人間が悪い」「受け手が精神的に弱い」などと、個人の問題に矮小化したり、いたずらにルールを作っても意味がありません。

特に、いわゆる日本型社会は、「強い結びつき」を求めるがためにより風土は硬直化しやすいように見えます。今回の全日本柔道の一件でも、柔道界や警視庁のOB・現役の集まりの中で、ある特殊な風土が純度を増してきたように見えます。
最後になりますが、ほとんどの企業が、成熟した業界で新たな事業価値を生み出すことを表明されています。そのためには、社員一人一人が、過去の慣習にとらわれることなく、新しい価値を生み出す行動をすることが大事だと考えます。

日本の社会全体が、正に「支配からの脱却」を目指す時代なのではないでしょうか。

 

平尾貴治

睦月を振り返って

2013年がスタートし、あっという間に一ヶ月が過ぎようとしています。
この一ヶ月は、様々な場面で「歴史を引き継ぐ」ということを考えさせられました。

お正月には、最近着物の美しさ・面白さに目覚めたこともあり、母や祖母の着物や帯を

身にまとって過ごしました。

数年前まで全く興味がありませんでしたが、祖母から母、そして母から私へと引き継がれ

た布を、自分のサイズにあうようにお直しをし、体に沿うようにして着付けていく・・・。

その時代時代で祖母や母が経験した生活、感じてきた空気を引き継ぎながら、

現代に生きる「自分仕様」にアレンジしていく感覚が、何とも心地良いと思えるようになりました。

そして何より、一枚一枚の着物を通して、母との会話が増えたことが一番の財産なのかもしれません。

 

仕事も同様、「我社の伝統を次代にいかに引き継ぐか?」というテーマのお手伝いに関わっており、

引き継ぐ側も引き継がれる側も、実はそのキッカケを欲していたのではないかと感じる経験をしました。

日々の業務が多忙であればあるほど、組織の中にうもれてきた「当たり前」に目を向けることが難しくなります。

ホンの少しでも足を止めて、老いも若きも「変えるべきこと」と同時に「残すべきこと」を共に考える場ができれば、

強みを発揮できる組織が増えていくのではないか・・・?

睦月を振り返り、そんなことを感じています。

 

Sotoyama

公開セミナーのお知らせ「地震シミュレーションワークから学ぶ緊急時と平常時の組織経営の考え方」

本当に組織の存続を考えるのであれば、対処法的な危機管理ではなく、BCM(事業継続マネジメント)もOD(組織開発)も、関連する経営マターとして包括的に取り組むことが求められています。そこで、地震発生後数時間を会社幹部として疑似体験していただ く図上演習を基に、「緊急時に機能する組織行動とは何か」「平常時より考えるべき組織風土とは何か」を実践的に学ぶ場として、日本リスクマネジャー&コンサルタント協会様・富士火災海上保険様との共同セミナーを開催いたします。

本セミナーは、昨年11月に初めて開催をしたのですが、大変ご好評をいただきましたので、今回は時間を30分延長して開催いたします。また、受講後、御希望者には個別企業毎に特化したフォローアッププログラム(無料)も御用意いたしました。

「組織を 根っこから良くしていきたい」と真摯に望む経営リーダーの積極的な参加をお待ちしております。

 

  • 2013年2月8日(金)  18:30~21:00 (18:00開場) 
  • 会場:ちよだプラットフォームスクウェア 401号会議室
    東京都千代田区神田錦町3‐21 ちよだプラットフォームスクウェア4F
    (東京メトロ 竹橋駅 徒歩2分/小川町駅 徒歩7分/神保町駅 徒歩7分/大手町駅 徒歩8分 他)
  • 参加料金:3,000円
  • 共 催 :内閣府認証 特定非営利活動法人 日本リスクマネジャー&コンサルタント協会/富士火災海上保険㈱/(㈱シー・シー・アイ
  • 講師:
    平尾貴治
    ・・・株式会社シー・シー・アイ/ドラッカー学会会員/社会保険労務士/ODネットワークジャパン設立発起人
    大村健二
    ・・・富士火災海上保険株式会社マーケティング部シニアリスクアナリスト

 

<当日プログラム概要(予定)>

  • オリエンテーション・・・・組織とは何か/BCMとODの関係性 ・ 図上演習(地震シミュレーション)・・・地震直後に発生する様々な課題について経営幹部として事業継続意思決定を行う
  • 演習フィードバックと情報提供①・・・危機管理専門家の立場から、緊急時における意思決定や想定される問題について
  • 演習フィードバックと情報提供②・・・組織開発専門家の立場から、平常時における組織文化のあり方や課題について

 

<お申込み>

日本リスクマネジャー&コンサルタント協会のページよりお申し込みください。

本当に実効性のある事業継続マネジメント

去る11月29日、日本リスクマネジャー&コンサルタント協会との共同セミナーを開催いたしました。
今回は初めての試みとして、富士火災海上保険株式会社シニアリスクアナリストの大村氏と私(平尾)での二人三脚でファシリテートいたしました。

このセミナーの狙いを一言で言うと、「本当に実効性のある事業継続マネジメント」。

このテーマは、多くの企業がリスクマネジメント計画や事業継続プラン(BCP)を策定しながらも、2011年3月11日の直後にその計画が機能した組織と機能しなかった組織の違いをリサーチしていく過程で浮かび上がってきました。

つまり、緊急時にきちんと計画を機能させるために大切なのは、第一に何が起きるかの想定の幅をできる限り広げ準備しておくこと、また、いざという時に計画がきちんと運用されるには、常日頃、平常時の組織の中の関係性や規範を認識しておくことです。
この大切な事を皆さんに体験的に考えていただこうと、本セミナーを企画いたしました。

 

 

具体的な進行は以下の通りです。

まず最初に緊急時の対応をシミュレーションで体験して頂きます。
「経営会議の最中に大地震が起きる」という場面設定です。
参加者のみなさんには架空の会社の経営幹部として、グループの中で、社長、専務、常務、製造部長という役割を演じて頂きました。

災 害が起こった瞬間、現実と同じように突然の轟音と女性アナウンサーの緊急地震情報が流れます。当然ですが、まずはなすすべもなく、全員が机の下にもぐりこ みます。その光景を見て、私自身も一気に2011年3月11日に引き戻された気がしました(当日のその瞬間も私はセミナーの真っ最中でした)。

轟 音が収まった後は、次から次に、経営陣としての決断・行動を迫られる情報が音声とメモで入ってきます。従業員の安否・建物の被害・近隣住民や取引先との 関係・インフラの停止・度々起こる余震などです。メンバーの方は、話合い、悩みながら、限られた時間で意思決定していきます。そこではリアルな会議と同じ ように、統制を働かせて動くチーム、役割よりも緊急性を重んじるチーム、役割に沿って慎重に動くチーム、など様々な「チームの形」が現れます。

 

実習を終えた後に、まず大村氏が危機管理専門家として、振返りをいたしました。
「どういう判断が正しいか誤りか」ではなく、どのような優先順位だったのか?どこまで多面的に考えての判断だったのか?この非常時が過ぎた後に評価される決定なのか、など鋭い視点での投げかけがあり、深い内省と納得感がありました。
次 に、私から実習で見えた黙示的規範や、組織としてそこにどのような危機が見えるのかについて、プロセスから振返りを行い、更に、組織開発の見地から、緊急 時を乗り切るための平常時における組織文化についての講義をいたしました。たまたま集まったグループにも関わらず、それぞれに、全く違う規範が誕生してい たこと、またその規範に従って自分達が動いていたことに気付き、みなさん驚いていらっしゃいました。

 

終了後には「シミュレーション後に、危機管理と組織の両面から考えさせられたことにより、非常に深い学びを持てた。」「もっとロングバージョンを体験したい。」といったご評価をいただきました。

私自身も、あらためて本セミナーをやってみて、仮説が確信に変わりました。
今後も、ブラッシュアップしながら続けたいと思っております。ご興味のある方はご連絡をいただければ幸いです。

 

平尾貴治

予定調和からの脱却~インプロワークショップを体験して~

ODネットワークジャパンの10月度研究会でインプロのセミナーを受けました。
「インプロ」とは、インプロビゼーション (improvisation)のことで、直訳すれば「先を見る(読む)ことをしない」、つまり即興劇や即興音楽のことを言います。
今回講師になってくれたのは、インプロの第一人者である学芸大学の演劇分野準教授の高尾隆さんです。
当日は、脚本のない短い即興劇を参加者全員でいくつか実践し、それを振返るという実習をいくつか行いました。
一見遊びのようですが(実際に楽しいのですが)、体験後にワークを振返ると、怖いほど普段の自分の仕事の進め方や、人との接し方が見えてしまいます。

 

このインプロに対して、企業・自治体・教育現場など様々な組織からの要請が、急増しているそうです。
社会環境の変化が激しくなる中、ビジネスモデルもマネジメントスタイルも、既存のやり方を続けていては対応できなくなっているのは、「頭」では、わかっています。しかし、同時に人間というのは変化を極端に嫌う生き物でもあります。
だからこそ、あらゆる組織に「変化を楽しめる文化創り」は必要になっているのかもしれません。
先日もコンサルテーションの中でこんな相談を受けました。
若手も含めた社員全員が、現在の仕事の多くについて「今のままではいけない。変えたい」と訴えたそうです。
その声を背に受けて、社長は、プロジェクトチームを社員自身に立ち上げさせ、運営させました。
ところが、プロジェクトチームの活動が進み、いざ自分の仕事に変化が及び出すと、多くの社員が、今度は変革に対する抵抗勢力となり始めてしまったということなのです。

「頭」は変革が必要としながらも、「心」「体」は拒否しています。
高尾さんと中原淳東大准教授との共著「インプロする組織」には、我々は子供の時から「学習」ではなく「教育」ばかりを体験してきたのではないか?という問題提議がありました。
「教育」と「学習」は違います。
教育とは、答えのある正しいものを、権威のある人から教えてもらうことであり、学習とは、答えがなく違和感さえあるもの自分で受け入れ、成長していくことです。
確かに我々のコンサルテーションにおいても、戦略やマネジメントという正解の無いものを実践していただくために、座学でなく、まず本人に徹底的に考えていただく姿勢でいるのですが、最近はメンバーから「先生、まず答え(やり方)を教えてください。僕ら一所懸命覚えますから」と言われることが多い気がします。
こうした変化に対してのジレンマを乗り越えるためには、前述したように、組織に「答えの無いものや変化を楽しめる文化」を定着させることが必要であり、そこを結び付けるカギがインプロにあるのかもしれません。
変化を楽しむためには、評価を手放し、将来に執着せずに、今に集中することです。
先程の本の中では、哲学者の中村雄二郎氏が、「『科学の知』が行き詰まりを見せていて、それを補完するものが『臨床の知』である」という言葉が載っていました。
いかに予定調和の安定感を脱することができるか、それが変化の時代に生きる我々のポイントなのでしょう。

 

平尾貴治

地震シミュレーションワークから学ぶ、緊急時と平常時の組織経営の考え方

南海トラフの衝撃的な被害予想が出ましたが、各企業におかれましては、対処法的な危機管理ではなく、BCM(事業継続マネジメント)もOD(組織開 発)も、より実効性のある経営マターとして包括的に取り組むことが求められています。

 

そこで、地震発生後数時間を会社幹部として疑似体験していただ く図上演習を基に、「緊急時に機能する組織行動とは何か」「平常時より考えるべき組織風土とは何か」を実践的に学ぶ場として、日本リスクマネジャー&コンサルタント協会様との共同セミナーを下記の通り企画いたしました。

 

「組織を 根っこから良くしていきたい」と真摯に望む経営リーダーの積極的な参加をお待ちしております。

 

  • 日 時 :平成24年11月29日(木)  19:00~21:00(18:30 開場)
  • 会 場 :ちよだプラットフォームスクウェア 402号会議室
    東京都千代田区神田錦町3‐21 ちよだプラットフォームスクウェア4F
    (東京メトロ 竹橋駅 徒歩2分/小川町駅 徒歩7分/神保町駅 徒歩7分/大手町駅 徒歩8分 他)
  • 共 催 :内閣府認証 特定非営利活動法人 日本リスクマネジャー&コンサルタント協/(㈱シー・シー・アイ
  • 講師:
    平尾貴治
    ・・・株式会社シー・シー・アイ/ドラッカー学会会員/社会保険労務士/ODネットワークジャパン設立発起人
    大村健二
    ・・・富士火災海上保険株式会社マーケティング部シニアリスクアナリスト

 

<当日プログラム概要(予定)>

  • オリエンテーション・・・・組織とは何か/BCMとODの関係性 ・ 図上演習(地震シミュレーション)・・・地震直後に発生する様々な課題について経営幹部として事業継続意思決定を行う
  • 演習フィードバックと情報提供①・・・危機管理専門家の立場から、緊急時における意思決定や想定される問題について
  • 演習フィードバックと情報提供②・・・組織開発専門家の立場から、平常時における組織文化のあり方や課題について

 

<お申込み>

日本リスクマネジャー&コンサルタント協会のページよりお申し込みください。

 

吉田茂のドラマから

吉田茂をモデルとしたNHKドラマ「負けて勝つ」の最終回を見た。
NHKは時々「ハゲタカ」のように神がかり的にストライクゾーンのドラマを作ってくれるが、今回も本当に胸に響く重厚な作品だった。

 
吉田茂は、「アメリカに飼われた犬」として風刺漫画に描かれたように今だに賛否両論の絶えない政治家である。確かに米軍基地・自衛隊・日本国憲法など今に続く重大問題の根っこに大きく関わる人物であろう。

しかし、彼もその側近の白州次郎も、絶対譲れないもの、つまり「日本の独立」をひとつだけ押し通すために、複雑な外交の潮流を見ながら、「個人の正義」は降ろし、譲るべきを譲ってきたのではないか、というのがこのドラマの訴えたいことだったように思える。その動きは後世の人間からみれば、非常に政治的であり、自分のポリシーが無いように見えるかもしれない。
しかし、第二次大戦の敗戦国が独立することがどれほど困難だったかは、東西に分断されたドイツや多額の賠償金を払ったイタリアを見れば明確であり、吉田茂はそのために「プライド」も「正義」も、時に「論理的合理性」すらも捨ててきたのではないか。
私自身は、もともと好きな歴史的人物は新撰組の土方歳三だった。彼は単純さこそを愛し、時代がどうあれ「自分の信じる正義」のみに生きて死んだ。もし同時代であれば吉田茂など真っ先に叩き切る相手だったろう。
学生やサラリーマン時代の私もまた土方のようにひたすらに単純に生きたかった。

 

ただ、コンサルタントとして仕事をさせていただくなかで、組織においては「絶対に譲れないもののために、プライドや正義を捨て、時に政治的戦略的に動くしたたかさ」がいかに大切かということを現実の場で学んできた。特に中間層のリーダーをお手伝いすると、外部においては貪欲で我儘なマーケット、内部においては強烈な統制をかけてくるトップなどと対峙しながら、それでも各々の譲れないものを通していかねばならない。例えて言えば、山の頂上を目的とするのであれば、天候によって登山ルートは変更し、チームメンバーも変えてでも目指していくのだ。

そうした行動は場合によっては「卑怯」と言われることもあるかもしれない。しかし、それを恐れていては頂上には辿り着かないのだろう。

 
自分の「絶対譲れないもの」とは何だろうか?そして譲れないものを通すために捨てるべき正義やプライドとは何だろう。
そんなことを考えさせてくれるドラマだった。

 
平尾貴治

付加価値の創造

気がつけば今年もあっという間に4分の3が過ぎ、10月です。

この1カ月は厳しい暑さと急激な冷え込みが影響したのか、健康自慢だった私も恥ずかしながら体調を崩してしまいました。

仕事にも支障が出てしまうため、普段はあまりお世話にならない病院に駆け込むこと数回。

その中で、付加価値について考えさせられる体験をしました。

 

病院にいかなくてはまずいな・・・と感じたとき、あいにく休診日だったこともあり、地元の病院と通勤途中にある病院の2か所で診察を受けました。

通勤途中にある病院(A医院)は初診だったので不安もありましたが、診察してくださったお医者様が丁寧に症状を聞いてくれただけでなく、「自分の目で見たほうがわかりやすいでしょう」と、私の患部の映像と健康な人のサンプル映像をモニターに映し出して見せてくれました。

しかし、地元の病院(B医院)では何ともそっけない対応。

こちらから症状を訴えても、「じゃあ、とりあえず薬を出しておきましょう」というだけで、いかにも“流れ作業”で診察しているという雰囲気(少なくとも私にはそう感じました)。

悪印象のとどめを刺したのは、カルテに視線を落としたままでこちらの目を見る事もなく「お大事に」と言われ、診察室を後にしたことです。

次から次へと診察を行い、そこまで意識がいかなかったのかもしれません。

でも、自分が顧客の立場で感じたことは、「B医院には二度と行きたくない。多少遠くても『安心感』という付加価値を与えてくれたA医院のほうが信頼できる。」ということです。

 

優れた技術や使い勝手の良い商品も大切ですが、競争を勝ち抜き「選ばれる存在」になるには、それをどのようなプロセスで提供するか?ということも極めて重要である・・・。
健康の有難さとともに、今年の9月はそんなことを痛感しました。

 

Sotoyama

事業継続マネジメントと経営

先月から「経営戦略とBCM(事業継続マネジメント)」というテーマで、BCI(事業継続を考える世界的機構)の方々などと、定期的に実施する勉強会を御一緒させていただいています。
3.11で重要性が認識されたように見えるBCMですが、未だに「防災」「情報システム」「人事」といった一部門の問題に矮小化されがちで、部門の壁を越えた施策になっていない企業も多いという問題意識から立ちあがった勉強会です。
基本的にはBCMやリスクマネジメントのご専門家が多数を占めるメンバーの方々ですが、OD(組織開発)の視点も入れたいとのことで、弊社にも声をかけていただきました。
参加者の皆さんとディスカッションをしながら、次のようなことを感じました。

 

一般に、危機状態に際しての事業継続の問題については、「連絡やチェック体制などの仕組み」と「危機に対応できる強いリーダーシップ」に光が当たることが多いようです。それらももちろん大事ですが、私は、様々な業態の企業を見させていただいた体験から、非常時に有効に機能する組織とは、平常時における次の3つの「組織の性質」に集約できるのではないかと思っています。
1、常に『組織の外部(お客様・社会)に向けての、組織としての存在理由』を明確化・共有化する努力をしている。
(そのことにより、非常時に「何を残し何を捨てるか」の優先順位をつけた迅速な行動ができる)
2、一度決めたことであっても、状況や時代の変化に合わせて、健康に疑い、場合によっては、再規定するための論議ができている。
(そのことにより、「想定外」と「想定内」との分かれ目も自由に見直すことができる)
3、仕組みやルールに頼らずとも、「これはおかしいのではないか」と感じたことを、その瞬間に互いにフィードバックし合うことができる。
(リスクの問題は、実は以前から気付いていても言えなくて放置していたためにおこるものが非常に多い)

 

皆さんの会社でもBCM(事業継続計画)お考えだと思います。そんな時、是非「連絡やチェック体制などの仕組み」と「危機に対応できる強いリーダーシップ」以外の、『平常時における組織としての質』も考えてみてはどうでしょうか。

 

 

 

平尾貴治