書籍に学ぶ組織開発のポイント(2)・・・なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか

「企業と人材」の本年1月号から3月号まで「専書!(専門家が選んだ3冊)」のコーナーに記事を掲載させていただいた、第二回“なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか(枝廣 淳子, 小田 理一郎)”の記事をご紹介いたします。

※本ブログは「企業と人材」を発行する産労総合研究所様の許可を頂きアップさせていただいています。また掲載記事全文はこちらからお読みいただけます。

新型コロナの状況は、私たちの仕事・生活に相変わらず大きな影響を与えています。
企業の皆さんは、そうした状況の中で、新たな戦略を考え、その戦略を遂行するための組織を考え、様々な仕組みや教育もなさっていると思います。

しかし、そんなときに良かれと思ってやっているのに、「ますます悪くなる」あるいが、「良くなりかけたと思ったのに暫くすると元に戻ってしまう」などということはありませんでしょうか?
そんな状況を解決するための有効な思考法のひとつである、「システム思考」の基本について、本当に分かりやすく説明してくれるのがこの本です。

組織にはいくつものループがあります。
例えば「若手社員が辞める」⇒「上司がプレイングマネージャーになる」⇒「上司は若手の面倒を見る時間が無くなる」⇒「ますます若手社員が辞める」・・・といったループです。
そのループが繰り返されると無力感ばかり強まりますよね。
この本では、
そもそも自分の組織にはどんなパターンが生じているのか?
そのパターンはどんなループによって生み出されているのか?
そしてそのループが断ち切れない根っこには、どんな意識・無意識の構造があるのか?
・・・そうしたことをクリアにするための理論と事例が沢山紹介されています。
こうした思考は、組織開発(OD)の根本であり、新型コロナ下で戦略・組織・働き方の大きな転換を考える企業の皆様には必須の思考法です。

単なる仕組論や精神論ではなく、勇気をもって「組織の本質的変革」に取り掛かろうとされている経営者・組織リーダーの皆様に是非読んでいただきたい一冊です。

 

ドラッカー学会の大会「The New Realities」に登壇させていただきます!

5月15日開催のドラッカー学会の年次大会(ネクスト・ソサエティ・フォーラム2021)に登壇させていただくことになりました。
Zoomによるオンラインセミナーですので、日本・海外のどこからでも移動を伴わずご参加できます!
私は午前中です。
ポストコロナにおける組織・企業は、どのように戦略や意識の枠組みを変えなければいけないのか、事例も含めてお話しできればと思っております。

社会・組織・個人における「新しいリアリズム」を探求したい方のお申込みを心よりお待ちしております。

お申込みはこちら
↓ ↓ ↓
https://nsf2021.peatix.com/

・・・以下事務局からのご案内です・・・

【5/15 オンライン開催】第16回 ネクスト・ソサエティ・フォーラム2021――ドラッカー学会総会&大会「The New Realities」

新型コロナの蔓延は、全世界を麻痺させ、社会システムに根本的な問いを投げかけています。
現下の大変化に対して、有効な解決策を見出せないまま、不信や批判ばかりが飛び交って久しい状況が続きます。
新型コロナは、現代に対して何を語りかけているのでしょうか。私たちはどのような世界へと歩みを進めているのでしょうか。

今、原点に戻って、ドラッカーの所説の本来の力、役割を大胆に応用展開する必要があるのではないか。
自身の取り組みを地道に続けてきた創意あふれる論者たちが、現代社会の「新しい現実」の実像と行方を語りつつ、ドラッカーの言う自由にして機能する社会への道を考えていきます。

全地球レベルの危機をどう乗り越え、次なる展開に利することができるか。さまざまな領域のプロフェッショナルに参集いただき、ネクスト・ソサエティ創造、そしてそれぞれの「新しい現実」を有意義にシェアできる場にしたいと思います。

【開催概要】
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■日  時:2021年5月15日(土)10:00~18:00
(学会員のみ開場9:45~、学会員以外の方は10:20より開場)
■開催方法:Zoom (当日URLは申込後、視聴ページよりご確認いただけます)
■参加資格:主催団体会員および紹介者
■参 加 費:無料
■定  員:1000名
■申込方法:https://nsf2021.peatix.com/
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【プログラム】(予定・変更可能性あり)
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10:00~10:20 総会(*ドラッカー学会員のみ参加可能)

<10:20~ 全体受付開始>

10:30~10:35 開会の辞   阪井和男(明治大学法学部教授/本会代表)
10:35~10:50 会員報告   大塚三紀子「私の観察によれば」
10:50~11:15 会員報告   平尾貴治「ポスト・コロナのコンサルティング」
11:15~11:50 理事報告   八木澤智正「The New Realities」(ネクスト・ソサエティ賞(仮))

<11:50~13:10 休憩>

12:00~12:30 研究会発表 ドラッカー「マネジメント」研究会 (森岡謙仁 他)
13:10~14:20 基調講演   山脇秀樹「The Future That Has Already Happened」
14:20~15:20 講演     *現在調整中

<15:20~15:40 休憩>

15:40~16:30 新任プラクティショナー・フェローに聞く
「コロナ危機の問いかけるもの――何を見て、どう動くか」
ファシリテーター/八木澤智正・井坂康志
スピーカー/伊藤順朗氏×青野慶久氏×大井賢一氏

16:30~17:30 講演     西條剛央(EMS代表/ドラッカー学会フェロー)「クライシスマネジメントの本質」
17:30~17:40 秋大会案内  吉村慎一(博多大会実行委員長)
17:40~17:50 閉会の辞   佐藤等
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〈主催〉ドラッカー学会
〈協賛〉 Essential Management School、ODNJ(OD Network Japan)

書籍に学ぶ組織開発のポイント(1)・・・マーケティングとは「組織革命」である

「企業と人材」の本年1月号から3月号まで「専書!(専門家が選んだ3冊)」のコーナーに記事を掲載させていただきました。
今回は、その第一回である“マーケティングとは「組織革命」である(森岡 毅)”の記事をご紹介いたします。

※本ブログは「企業と人材」を発行する産労総合研究所様の許可を頂きアップさせていただいています。また掲載記事全文はこちらからお読みいただけます。

我々が「組織開発」を謳ってきて、どうしても悩ましいのは、「組織開発って組織のコミュニケーションやモチベーションを良くすることでしょ」と決めつけられてしまう事です。

もちろんそれも大事な要素ですが、私たちはハード面(戦略・仕組・など)とソフト面(気持ち・関係性・文化・など)の両面を考え、かつそれらをどう有機的に統合していくかを大切にしています
その意味でこの書籍は、USJの現在の成功を気づく過程において、内向きだった組織をどのように顧客と戦略に目を向けるようにしたのか、そのために組織や個人の行動や文化を泥臭く変えていく過程が活き活きと描かれています。
特に筆者の「組織を『人体』として捉え、だからこそ各臓器(個人・階層・部門)が『上下関係』ではなく、明確な役割による『共依存関係』を考える」という視点にも強く共感いたしました。

私たちも組織が新戦略に向かうお手伝いをする時は、外部環境や自社の歴史・未来をもう一度見直しながら、「自分達はどうあるのか」を本気で掘り下げ考えていただくことをスタートとしています。
その意味でもこの書籍は新型コロナ禍で悩みの中にある多くの企業にお勧めいたします!

弊社移転のお知らせ

令和3年2月22日、弊社は下記に移転いたしました。

(新住所)
所在地  〒107-0061 東京都港区北青山3-6-7青山パラシオタワー 11階
電話番号 03-5778-5192

今回移転いたしますシェアオフィスは表参道にありますが、全世界に数百拠点のオフィスを有します。
これまでの外苑前の事務所も20年になり、弊社拠点として多くのお客さまのお迎えし懐かしさはひとしおですが、リアルとオンラインのハイブリットの働き方を実現する上で、フットワーク良く仕事をするための最適な形を選びました。

これを機にさらに業務の充実を図り皆様のご期待に添えますよう一層の努力を重ねてまいります。

代表取締役会長 大島 岳
代表取締役社長 平尾 貴治

オンデマンドセミナー「従業員のパフォーマンスを高める人事評価の理論と実践」に出演します

この度、@人事の主催するオンデマンドセミナー「人材マネジメント入門/従業員のパフォーマンスを高める人事評価の理論と実践」に出させていただくこととなりました。

開催日は2021年2月4日(木)13:00~16:00。オンラインでの無料開催です。

新型コロナウイルスによる労働環境の変化や、働くことへの価値観の多様化の中で人材マネジメントはどうあるべきか、を複数の専門家の方々と共に実践的に考えていただく場です。

私は最後の出演者として、15時過ぎより『変化の時代の組織に「納得感」をつくる原理原則』というテーマで、組織開発実践者の観点から、キレイゴトではなく本気で戦略をやり切る組織作りの本質についてお話をしたいと思います。

「一所懸命に接しているはずなのに部下が本気にならない」「人事制度も変えて評価者研修もやっているのに、評価の精度が上がらない」などお考えの方、是非覗いてみてください!

お申込みはこちらです!

 

2021年(令和3年)新年のご挨拶「変化と軸」

皆様、新年明けましておめでとうございます。

「非日常」の中で、新しい一年が始まりました。
経済も企業も個人の働き方も、猛スピードで変わることを求められています。
「新しいマーケットの開拓」「ビジネスのオンライン化」「在宅勤務におけるマネジメント」など変えるべきことが山盛りです。

昨年から経営者の方々とお話をしていると、agility(アジリティ)という言葉が出てくることが度々あります。
agilityとは日本語に直訳すると「機敏」「素早さ」などの意味になります。
しかし組織開発的には、agilityとは単純に速度を早くすることでありません。
「今やっていることを、今までよりも早くやる」ということだけでは、状況は本質的には何ら変わりません。
それはあたかも、同じ回し車の中を永遠に走り続けるハツカネズミのようなものです。
そうではなく、今までやったことを疑い、捨てる必要・変える必要があると決断した時は、瞬時に、かつ本質的に、変化させるスピードこそがagilityなのです。

組織の中に本当のagilityを実現するためには、3つの条件があると考えています。
1)環境変化を真剣に見て、それについての「主観」を共有しているか
2)自分達がリスクテイクをしてでも実現したい、という強い「軸」はあるか
3)変化に対しての「感情」をどれほど話合い、聴き合っているか

「回し車の中のハツカネズミ」を脱するということは、一言で言えば「変化と軸」を作るという事です。

私たちCCIは、皆様の「変化と軸」を明確にするお手伝いをさせていただきます。
痛みを伴ってでも変化成長をしようとする組織に対して、ご自分達の根深いズレを明確にし、軸を揃えるための「本当の対話」を組織の中に作り上げるのが、私たちの使命です。

改めて本年もよろしくお願いいたします。
皆様におかれましてもより実りの大きな1年でありますよう、心よりお祈りいたします。

代表取締役会長 大島 岳
代表取締役社長 平尾 貴治
取締役     藤田 誠

「企業と人材」1月号に掲載していただきました

「企業と人材」の「専門家が選んだ3冊」というシリーズの中で、1月から3月まで組織開発の本質に迫る書籍を紹介させていだくことになりました。
第一弾となる2021年1月号は森岡毅さんの「マーケティングとは組織革命である」を取り上げました。
マーケッターの森岡さんが、当時の組織をどのように社会や顧客にベクトルを向けていき、USJを立て直したかが描かれています。
組織開発とマーケティング戦略を別物と捉える方もいますが、多くの組織における感情的な問題は、外部環境を正確に捉えない、もしくは外部への見方を共有しないことに起因していることがとても多いです。
是非ご一読ください。

Zoomヒアリングからスタートした、コロナへの挑戦

(※この写真は2019年10月に撮ったものです。)

先の見えない日々に、多くの経営者の方々は本当に悩まれています。そんな中、従業員の方々が自分達で、会社のあるべき姿を考え、そのための施策を握り合い、成果を出されている会社もあります。

今回ご紹介するのは東京大田区で一般板硝子・鏡の加工卸、内装工事等を営む、株式会社西尾硝子鏡工業様です。Zoomを使って個別ヒアリングをさせていただき、その分析結果をご本人たちにストレートにフィードバックし話し合っていただきました。
結果として、幹部・社員の皆様が見事にご自分達で変革行動につなげ、実践を継続されています。

以下、西尾智之社長様ご自身より「元気になる」レポートを頂きましたので、掲載させていただきます。

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経営者としてコロナになって何を感じていたのか

コロナ禍になって感じていたことは、皆が色々な情報に扇動されていく姿でした。SNS、マスコミ・・・など様々な媒体から情報が発信され思考停止に陥っていく様子を垣間見ました。
コロナ禍を境に色々と見直すことは当然大切なことですが、急に変われるわけではないし、「周りがそういうから、何か新しいことはしなくては」というのも情報に扇動されている光景だと感じていました。

「自分の頭で考える」ということが今こそ大事であると思い、同時に、変えてはいけない本質的なことは変えず、変えるべきは柔軟に変える、という不易流行の考え方にたてば、冷静に自らの置かれている立ち位置を確認することはできると感じていました。

その中で経営や組織をどうしたかったのか。なぜCCIに頼もうと思ったのか

元々コロナとは関係なく、2020年に本来開催予定だった東京五輪の後にはパラダイムシフトがおきるであろう、と予想していました。そのため次を担う中堅や若手を中心に「どういう未来を築いていきたいか?」というテーマで合宿をしたいと思っていたのです。
しかし、コロナにより4月の緊急事態宣言を受けたときは、「夏頃までは受注残があるので何とかいけても、その後は苦しくなる」と踏んで、財務面を優先して合宿は一旦中止にしました。

そうした視点での事業計画も作成してスタートした今期の初頭に、生産部部長の家族の看護のための退職希望の話が浮上してしまいました。
そこで、根本的に原点へ戻るつもりで、今の状況を全員でシェアして、当事者意識を持つことが需要だと判断して、CCIさんにお願いすることにしました。実は、最近は社内において表面的な会話が多く、踏み込んだ議論が少ないと感じていたこともあり、ブレークスルーしたいと思っていたのです。

遡れば2011年の東日本大震災の頃にCCIの組織開発と初めて出会い、対話をファシリテートしていただく中で、お互いに出来得る限り自己開示をして、お互いの考えている背景などにも踏み込んで、互いに承認をしていくプロセスを経験しました。

今回も特にコロナ禍で先行きに不安を抱えていたり、本当はこう思っているのだけど、きちんと言えないなどの雰囲気があるように感じて、それぞれが思っている今の気持ちや感情をきちんと見える化したうえで、お互いに深く話をしていった方が得られるものが多いと考えていました。
そこへのアプローチは私たちのスタートからお付き合いしているCCIさんが一番わかってもらえるのではないか?と考えました。

ヒアリング及び報告会を受けて何を感じたか、その後社員の方々にどんな変化や成果があったのか

私が今回のプログラムを導入を決めた時は、「そもそもこういった社内の問題は、当事者である自分たちだけで解決していきたい」というのが社員たちの本音だったと思います。日々会っていない外部の方にどこまで理解してもらえるか?という疑問をもっていたようです。コロナ禍で苦しい時にお金をかけて実施することに社員の理解を得られないのではないか?との意見も出ていました。
個別ヒアリング報告会を受けた直後も、危機感への感覚にはまだ個人差はありました。すぐ行動しようとした社員、様子見の社員など分かれていたように見えます。

しかし、一人の女性幹部が報告会後すぐに行動を起こして精力的に話し合いの場をつくっていったこと、また別の幹部が1週間に1回を目安に話し合いの場をつくるために日程調整をやりくりしている姿をまわりが見てから、全体が自分事として動いてきたように感じます。結果として「課題の期限を区切る」「言ったことはきちんと最後までやる」という雰囲気に社内が変わりました。
途中経過報告を私から求めるよりも、幹部や社員から提案や発信が出るようになっていったのが大きな進展です。

もちろん大きな焦点は、「生産部部長が退職したあとの体制をどう進めていくか?」ということでした。しかし、生産部の社員の中から次の幹部候補を明確にして、本人へ自覚を持ってもらい、周りからもサポートをするなど「対話」をきちんと図ることが改善され、関係性も健全になったと感じています。
特に期限内、時間内でまとめる、ファシリテートするなど時間軸の考え方が変化したことは望ましい成果だと思っています。

ここまでを振り返り、私自身が感じたこと・気づいたこと

まずは「やってみてやはり良かった」という点です。内部からは随分反対されましたから(笑)。

でも私自身は2012年のときもそうでしたが、「感情の理解」を互いにしないで話し合っても上辺だけとなってしまうことを一番恐れていました。一旦任せたら社員からの定期的な報告と期限を守ってもらうことをベースにしていきたい。単に私から指示を出すだけでなく、相手からの意見を承認しつつも、「自分はこう思う」と投げかけて更に深く考えてもらう、こうしたやりとりが重要だと思います。

今回はコロナ禍で危機的な状況になる前に財務視点で手を打ち、全員で共有し、かつ理解を深めたことで、それぞれが少しずつ自信を持てたことも良かったと思っています。

西尾硝子鏡工業の企業活動

大変な2020年でしたが、そんな中、上記レポートも含め弊社には大きな嬉しいニュースもありました。

1. 健康経営 銀の認定の取得
2. 2020年 世界発信コンペティション 製品・技術(ベンチャー技術)部門 東京都ベンチャー技術特別賞の受賞

いずれも業界では初の事例です。製品・会社のブランド化は社員のブランド化がベースという考え方のもと、不透明感漂う現状の中でも、2021年に向けて自分の頭で考える社風づくりをしていきます。

平尾からの追記

このブログ原稿を作成しているときに嬉しいニュースが入りました!
西尾硝子鏡工業様とCCIとのコンサルテーションプログラムの内容を甲南大学の西川教授が英語論文にしたものが、South Asian Journal of Business and Management Casesに掲載されました!

世界中から組織活性化やマネジメントの数百の論文が投稿され、その中から6-7事例しか掲載されないジャーナルで、大変に名誉なことです。「劇的な仕組みや構造による改革ではなく、メンバーの内面の変化からくる組織そのものの変革であり、コンサルタントも当事者として変革の一部になっている」というのが選出された理由とのことでした。

今、経営者が考えるべき3つのこと

来年の1月号から「企業と人材」という雑誌に、「組織開発についてのお薦めの本」というコンセプトで3ヶ月にわたって記事を書かせていただくことになりました。その執筆もあり「コロナ禍において考えるべき組織開発とは何か」ということを改めて考えました。

結果として、私たちCCIがコンサルテーションを行う際にずっと意識してきた、以下の3つのポイントがより明確に浮かび上がってきました。

1、社会の変化を見て、もう一度自組織のミッション・ビジョンのアップデートを考え抜く。

どこの企業も戦略や組織の変化への対応が求められ、「そもそも論」を考える余裕がなくなっています。結果として問題を「本質的かどうか」で見るのではなく、「取り掛かる順番」でしか見られなくなり、成果を鈍らせている企業が多く見えます。リーマンの時も3.11の時も「そもそも論」を問い直した企業こそが、結局は戦略を柔軟に変化させることができ、復活が早かったのです。

2、組織のメカニズムを深く理解する。

どんな現象も実は流れの中の一瞬を切り取ったスナップショットにすぎません。その水面下には現象を生み出し続ける構造があり、さらにその構造を変えられない「意識無意識の構造=本質」があります。そこに手を付けなければ、本当の解決には至りません。例えば「在宅勤務」なんて約5年前から新聞の紙面には踊っていました。それが多くの企業でコロナが始まるまで手が付けられなかった本質ってなんだったのでしょう。

3、内発的動機付けにフォーカスする。

私達日本人は高度成長期の強烈な成功体験から、「過去からやってきたこと」「皆がやっていること」といった外在的価値に従うことに慣れきっていました。バブルが終わった後も、そのメンタリティは変わっていなかった気がいたします。でも、今こそ企業にも個人にも「外側には答えがない」時代に突入したのです。改めて他者からの承認を手放し、自分のやり切りたいことを軸に、そして他者のやりたことと議論しながら、行動をスタートする必要があると考えます。

最後になりますが、実は、このブログも愛読してくださっていた、ある経営者が先日ご逝去されました。
その方は、本気でミッション・ビジョンを見直しを行ない、意識・無意識まで含めた構造の変化にチャレンジし、そして何よりもご自分自身の内発的動機付けに誠実な方でした。その想いも受けて、これからも組織の「健全性」「効果性」「自己革新力」を実現するために私も邁進したく思います。

オンラインとリアルのハイブリッドを実現しよう!

前回のブログでは、在宅ワークを効果的に行うための個人として、あるいは上司としてのポイントをお伝えしました。⇒「在宅ワーク活性化のために」
一方で、最近は「運営側としてオンラインでの会議や教育のやり方が悩ましい」という声も多く頂くことが増えてきました。
そこで今回は、弊社としての実践やお客様の声から、経営者や運営側がオンラインとリアルのハイブリッドを実現する上での考え方をまとめてみました。

詳しくは弊社がほぼ毎週やっている無料Zoomセミナー「組織内の確信を高める経営とマネジメント〜ith/Afterコロナを生き抜く組織開発〜」でお伝えしておりますので、ここでは重要だけど意外に見落とされている、大きな2つのポイントだけをお伝えいたします。

【ポイント1:オンラインとリアルでの対面は「全く別物」と認識すべし!】

この部分の認識が甘い組織がとても多いと感じます。
「リアルで会えないけど画面を通じて話しているので大丈夫です」という話を聴いたりします。
どう別物か、の理由は以下です。

①オンラインの方が圧倒的に疲れるので、リアルの2/3から1/2くらいの情報量や時間にする必要があります=その分、リアル以上に事前準備・事後作業を多く求める必要があります。
②オンラインではリアルの1.5倍のリアクションを付けないと、伝わっているのかどうかがわからず不安になります。もし容量の問題で参加者の画面を切らねばならないのであればソフトを変えた方がよいと思います。
③オンラインでは「感情」のやり取りが極端に難しいです。言い換えればロジック中心のものには向いているかもしれません。

【ポイント2:オンラインとリアルは、それぞれに別個の強み弱みがあることを認識する!】

これを理解しないと会議や教育の生産性はあがりません。

①オンラインの方が強いこと
・移動などに時間やコストがかからないため対話の時間を増やすことができます。
・全ての相手と同じように向き合えるので、上下関係や部門間などの壁を越えて、意見を交換しやすいです。
・一対一の面談などにおいては、リアル以上に集中し相互理解することができます。
②リアルの方が強いこと
・複数人で行なう場合は、オンラインより相手の感情が伝わります。特に困っている人・弱っている人が見えることが組織やチーム強化につながります。
・会議や教育の前後や合間での雑談が、実は根深い問題を共有することに役立ちます。
・コストをかけて集まったからこそ、決めた結論に対するリスクテイクの度合いが高くなります。

いかがでしょうか。
以上の2つのポイントをうまく利用して、組織におけるオンラインとリアルのハイブリッドを実践してみてください
例えば、初めての顔合わせや、リスクテイクを求める会議や教育においては、感染防止に気を付けながら一つの場を共有し、その上で、会議であればタスクの分析や運営ステップの明確化などのロジカルな決定、教育であれば、実践の振り返りや論理的な評価などはオンラインで行うなど、それぞれの強みを考えた組み合わせが良いのではないでしょうか。

残念ながら、新型コロナ下では、まだまだ完全対面でのお仕事には限界があるようです。
かといって、「これが収まるまでは会議も教育も中止」では逆風の中で組織力は低下するばかりです。
是非、皆様の企業に適したハイブリッドをお考えいただき前に進んでまいりましょう!